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デンマークの田舎 ■デンマークに行って来た。ちょうどユラン(Jylland)半島の真ん中あたりにあるギーヴ(Give)という小さな街から、さらに2キロ離れた田舎に5日間滞在した。 ■ギーヴなんて日本では全く無名の街だから、まさにデンマークの安城市みたいなところにいたのだと思う。なんでそんなところに東洋人家族が5泊も?という感じだ。しかも、デンマークまで飛行機で来て、そこしか泊まらないで帰るなんて・・・謎?でも、とても楽しかった。
■ファームステイといって農場が経営する宿に泊まった。朝食付きの宿で、子供たちの遊具がある広い庭(農場も含むとさらに莫大に広い)と、子供用の二段ベッドと個人用のバルコニー(牛舎に面していなければ眺望は最高なのに・・・)がついてる広い部屋で、家族4人で一日の宿代は、わずかDKK450(5000円弱)だった。 【興味がある人のために住所です】 Osterhovedvej 16 7323 Give Phone (+45) 757-357-44 Fax (+45) 757-357-44 ■チーズもハムもソーセージも食べるものがみなおいしくて驚いた。しかもいろいろな種類がある。やっぱりイギリスの食事は間違ってたんだなと思った。農場の牛たちや、広い麦畑や、風力発電の風車を眺めながらすごすのんびりとした生活は、たぶん、まさにデンマークのもっともデンマークっぽい体験だったと思う。
■観光らしいことといえば、レゴランドで一日遊び、フレデリシア (Fredericia)という港町に電車で行ったことくらいだ。フレデリシアも、とくに観光地と言うわけではないけど、五稜郭のような城壁に囲まれたすてきな港町だった。
■限られた日数のデンマーク滞在だったが。お客や宿のデンマークの人たちと仲良くなり、この国が好きになった。
■そしてイギリスの生活が相対化された。ヨーロッパ(といってもデンマークだが)とイギリスの差異を感じながらいろいろな事を考えた。デンマークは、人も暮らしもイギリスとはずいぶん違っていた。とてもいい経験だった。 ■意味づけを保留したまま、気づいたイギリスとの差異を列挙しよう。 ・食べ物がおいしい。・コーヒーをよく飲む ・アイスクリームもよく食べる ・ビールもよく飲む ・大人も子供も人なつっこい ・愛想がよくて親切 ・雨が嫌いでレインコートを持っている(日本並み) ・自転車の鍵が甘い(日本並み) ・たばこを吸う(日本並み) ・広い平ら ・子供好き ・乳母車がとても大きい ・列車の中に子供用のプレイエリアがあった。 ・短髪の男性が多い ・人がまばら ・税金が高い ・家がカラフル ・犬の糞がよくおちている ・キャンピングカーを牽引している車がおおい ・どの車も昼間でもヘッドランプをつけて走る ・列に並ばない ・東洋人や黒人をほとんど見かけない
■人類学というのは結局、差異から意味を紡ぐ仕事なのだろうか。 ■以前にブリテン島萬報の「差別の秘密」で書いた「子供に厳しい社会」は、もしかするとイギリスに特有なことかもしれない。日本ともまた違うのだが、デンマーク社会は子供のことをわりと考えてる感じだ。そしてもしかすると、これはこの国でレゴという玩具が生まれた秘密にも関係あるのかもしれない。 ■友人が紹介してくれたホームページでデンマークのはなしというのがあった。3人の子供たちと一緒に2年間デンマークで暮らした伊藤美好さんという方のページだ。とても興味深いレポートだ。デンマーク社会の雰囲気がよく伝わってくる。
■いとうさんからメールをいただきました。その一部を。 > |
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レゴランド ■子供の頃、どれほどレゴで遊んだかしれない。ぼくのところは、ほかの家の子供に比べて決しておもちゃの多い家ではなかった。当時、両親は幼稚園創立のために苦労をしており、あまりお金に余裕がなかったのを、子供心に覚えている。おもちゃが少ないのも、そんなせいだろうと思っていた。けれどレゴだけはたくさんあった。レゴが高価なおもちゃだと知ったのは最近のことだ。 ■ぼくの両親が当時発売されてまもないこのおもちゃを、どういう理由で与えたのかは、まだ聞いたことがない。教育玩具とか学習教材とかには、ほとんど関心のない人たちなので、決していわゆる早期の知育を意図していたのではないと思う。たぶん単純に「このおもちゃはおもしろい」そう思って買ったのだろう。 ■結局ぼくは、小学校の高学年になるまでレゴで遊んだ。そのレゴは妹や弟に引き継がれ、その後、実家に大事に保存されていたものが、今はぼくの子供たちのレゴに連結されている。 ■その頃、レゴの付録についていたチラシかなにかで、世界のどこかにレゴばかりで作られた街ができたというニュースを知った。精密に作られた風車小屋とチューリップの花壇の写真をいまでも覚えている。それは、当時のぼくにとっては、決して見ることのできないあこがれの地であった。 ■現在、レゴランドは世界に3ヶ所ある。デンマークとイギリスとアメリカだ(まもなく日本にもできるらしい)。実はイギリスのレゴランドはオックスフォードのすぐ近くにある。「レゴランドを見にデンマークに行く」と話すと、イギリスの友人はみな、「レゴランドならイギリスにもあるのに」といった。しかしぼくにとってのレゴランドはチューリップが咲くデンマークでなければならなかった(しかし時期が遅くチューリップはもう咲いていなかった)。 ■レゴランドはビルンの空港のすぐ隣にあった。ビルンの街もけっして大きくないので、この空港はまさにレゴランドのためにあるようなものだ。乗った飛行機はマークエアだった。機内では搭乗してる子供たちのためにレゴを配っていた。飛行機でもらえるおもちゃは、だいたいすぐ壊れてしまう安っぽい物が多いが。レゴならうれしい。どんな小さなパーツでも、大事に持って帰ればまた使える。 ■近年のテーマパークの例外に漏れず、レゴランドも乗り物主体の遊園地となっていた。レゴでできたミニチュアの街だけでは、なかなか人を集められないのだろう。しかし随所に見られる遊び心は、このおもちゃを作っている人々の仕事に対するスタンスを感じさせた。
■そしてレゴランドの一郭には、まるでプールのようにレゴで満たされた、夢のような遊び場があった。そのエリアでは、大人も子供も夢中になって造形に興じていた。このごろ、自分の子供のレゴを奪って遊んでいるぼくは、レゴが大人になっても十分楽しいおもちゃであるということを再認識している。 ■子供の頃のレゴ遊びが、ぼくの成長にどういう影響を与えたかなど、調べようもないが、少なくともいえることは、レゴ遊びは、たとえばコンピュータのプログラミングのような作業と非常によく似ていると言うことだ。 ■デジタルで曖昧性がないという点ももちろんそうだが、それだけではない。さまざまな基本的な組みあわせを応用して、新しい形をつくりだしたり、デザインだけではなく、全体の強度を考えて効率の良いブロックの使い方を工夫したり、そういう応用に使っている思考に共通性を感じるのだ。
■設計に一貫性があり汎用性のたかい基本部品は、とことん応用がきく。逆に、見た目が派手でも、特殊化しすぎた部品はあまり使えない。これは良くできたコンピュータ言語も同じある。レゴでは、縦と横の割合、部品の大きさ、穴のサイズなどの比率が非常に厳密に決められている。その結果、予想外の部品が組合わさりそこに造形の妙が生まれる。
■幼少の頃のレゴは、このように基本的な部品を組み合わせてつくる純粋なブロック遊びだった。しかし人間の形をしたブロックができた頃から、レゴはコンセプトをかえ、特殊な部品を多く売り出すようになる。市場拡大の戦略かもしれないが、最近ではディズニーとのタイアップも始まった。新しく発売していたミッキーマウスの部品は、レゴというよりは、まさにミッキーマウスそのものだった。
■ディズニーランドとマクドナルドを好ましく思わないぼくとしては、これはあまりうれしい傾向ではない。レゴよ道を誤らないで欲しい。
■レゴとコンピューターとの関係でいえば、マインドストームというレゴでつくられたロボットを動かすためのプログラミングソフトは非常に魅力的だった。レゴランドでデモンストレーションをしていたのだが、あれにはまると恐ろしいことになりそうな予感がした。すでにもう遅いかもしれないのだが・・・・。 ■帰りの飛行機では、待合室にまでレゴの遊び場があった。子供たちは大喜び。大人はおおだすかりである。 ■最後にレゴランドに旅行する人のために役立ち情報。デンマークは税金が高いので、実はレゴランドでレゴを買うより、空港ほうが安い。我々も残ったデンマークのお金は全部レゴに両替して飛行機に乗った。 ■ところで、もし皆様のご家庭にご不要となったレゴがありましたらぜひお譲り下さーい。ちょっとだけでも大歓迎です。もれなくうちのレゴに連結させていただきまーす。 |
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