■持ち物
[ ]パスポート
[ ]小銭入れ
[ ]お金(TC・現金)
[ ]貴重品入れ
[ ]保険。
[ ]南京錠。自転車のチェーン鍵
[ ]虫除けスプレー
[ ]ばんそうこう
[ ]爪切り(3ヶ月以上の場合)
[ ]トイレットペーパー
[ ]石鹸と石鹸いれ
[ ]洗濯ロープ洗濯ばさみ
[ ]水筒(ペットボトル)
[ ]懐中電灯
[ ]ライター(100円ライター数個)
[ ]小さなナイフ
[ ]お茶用コップ(中国)
[ ]マット(登山用の銀マットがよい)
[ ]からだにまく布
[ ]バスタオル
[ ]Tシャツ数枚
[ ]サンダル帽子(現地調達)
[ ]地図(細い路地まで書いてあるものを現地で調達)
[ ]家族の写真
[ ]日本写真・地図
[ ]世界地図
[ ]小さいカレンダー
[ ]カメラ・フィルム(X線用フィルムケースは通常不要)
[ ]フィールドノート
[ ]辞書・会話集
[ ]口が閉じられるビニール袋
[ ]輪ゴム
[ ]4色ボールペン
[ ]楽器・絵の具(芸術関係の小物・折り紙)
[ ]常備薬・病気に関する資料
とにかく軽量化が命。
この装備は比較的暖かい東南アジアの国に行くことを想定している。海にはいる場合や山に行く場合は適宜必要な物を追加する。
カタカナで書かれているガイドブックは役にたたない
「地球の歩き方」はたしかにましなガイドブックであるが、掲載されている店に行くと妙に日本人ばかりだったりする。自分で探せば他にもいい店があるのに。他人の追体験をすることになにか意味があるのだろうか。
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■旅のはじめに
以下の文章はまだ旅に出たことがない人にむけて書いた。旅慣れた者にとっては当たり前のことがおおいかもしれない。
旅行は技術ではない人間関係の修行である。
知らない他人に出会うことは知らない自分に出会うことである。だから旅には決まったかたちはないむしろ自分なりのスタイルをつくっていく作業である。
いきあたりばったり系の旅って、なんだか大変そうだが、わざわざ大変なことをすすめるつもりはない。苦労が目的ではないのだから、無駄な苦労はできるだけしないほうがよい。そう考えてこれを書く。この旅のスタイルはある意味でパックツアーよりも楽なのである。
しかし、くりかえすが旅は技術ではない。技術に走ってはいけない。そもそも旅行術を記すこの文章自体が矛盾しているのだ。そこをふまえた上でよんで欲しい。
ひとりひとり旅は違う。そのときそのとき旅は違う。臨機応変に、あらゆる事態を想定してそれに対処するのが、いきあたりばったり系の旅である。
むろん旅は海外だけではない。国内もおなじ。私自身の旅の出発点は、北海道と沖縄だった。自分にとって大切な場所を見つけよう。
旅の途中で、自分のフィールドをみつけそこに滞在しよう。フィールドでの1ヶ月は日常生活の1年に相当する。1年もいれば10年歳をを取ったようなものだ。
20を過ぎた人の人生経験は年齢だけでは決まらない。人間年をとれば経験が増すというが、おそろしく偏狭な年寄りもおおい。そういう人は自分の常識にしがみつく。
日本の常識は世界の非常識。私の常識はみんなの非常識。そのくらいに考えて旅をしたほうがむしろよい。
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■旅立つ前によくきく言葉
「親が心配する」
心配するのが親の仕事だ。親が心配するのは当然である。親に心配をかけてはいけない。けれどもあなたの人生を生きるのは、親ではなくてあなた自身である。旅に出る決心ができないことを親のせいにしてはいけない。
「お金がない」
インドネシアでも中国でもソロモンでも1ヶ月で1万円あれば御の字。いなかにいけばさらに安い。幸か不幸か、今や日本は世界にまれにみる金持ちの国である。ちょっと昔まで一生をかけて渡航した先人たちのことを思えば、お金のことは旅に出ない理由にはならない。お金が貯まるのを待っていたら歳をとってしまう。年をとるとお金よりも大切な時間がなくなる。
旅をするなら若い時にはじめるのがいい。若いときに旅をした人は、年をとってどんなに時間がなくなっても旅にでる。
「言葉ができない」
言葉は何とかなる、心配するより、行っておぼえたほうがいい。どうせわからないのだから物怖じはしない。積極的に現地の人とはなす。
たったひとり異国の地におかれた瞬間に、だれもが自分の隠れた語学的才能を発見し、驚くだろう。日本の英語教育が多くの時間をかけていかに無駄なことをしているのかがよくわかる。言葉というのは日常的に利用する道具であって、試験ゲームで暗記するためのパズルのではない。
相づちが打てるようになると上達は早い。辞書を一冊持つ。ときには筆談も。英語をあてにしない。むしろ日本語のほうが通じるくらいに考える。世界には一万を越える言語がある。英語だけが唯一の外国語だというスタンスや価値観は、知らず知らずのうちに欧米崇拝につながる。
それが何語であっても現地に2週間もいれば日常生活はなんとかなる。日常生活さえできれば人間は生きていける
「ひとりでは不安」
基本的にひとり旅をすべきである。同行者が増えると警戒心がうすれる。現地の人との接触も減る。人数が増えた分だけトラブルに会う確率も増える。
旅には女性と男性でどちらが楽かは簡単には言えない。現地の人々と出会うときは、女性のほうが得をすることがおおい気がする。夫婦者・子連れならなお信用される。一人がさびしければむこうで友人や家族をつくればいい
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■街をぬける
お金
街をあることきは身軽な格好で。小銭をもち、大きな金は持たない。人前でなるべく現金を出さない、これはどこの国でもまず鉄則。やたらなところに物を置かない。やたらなところで寝ない、電車の中とかも注意。
貴重品のかくし方。身につけるほうがいいか宿におく方がいいかは、そのときどきで判断。大金を分けたほうがいいかどうかも判断。治安は国によって違う。宿が安心とは限らない。特に知らない国に入ったばかりは注意。首都や観光地は要注意。
人が多いところではまわりに気をはらう。どうしても危なそうなときは最小限の見せ金で逃げる。
現地の人に紛れるべし。日本人だと思われて得なことはほとんどない。どうせわからないのだからチベット人とでもいっておいたほうがよい。
わからないことは現地の人にどんどん聞く。街の安宿での旅人どうしの情報交換も大切。ただし日本人だけでかたまらない。いろいろな国の人から情報を探る。こういう情報は、半分は当てにならないが、半分は当てになる。
宿
穴場の安宿、地元の人が経営するコテージ。現地の人が泊まるような宿。友人ができればお家に泊めてもらえるかも。ロスメン・旅人宿・多人房。ドミトリー。
宿は基本的に中をみて決める。とくに水回り。お湯が必要ならお湯のチェック。
食事
お気に入りの店を見つけて仲良くなってかよおう。現地食が原則。最悪、世界中どこでも中華に逃げれば心配ない。
通信
最近はどこでもカード電話が普及し便利。電話局の交換手をとおすと時間が決められ値段も高い。長い暗証番号を打ち込んでかけるタイプの電話はインターネット回線を使っていて安くて便利。
電話のかけ方、まずあたまに海外認識番号の00や001、0011をつける。そして日本の国番号の81につづけて、市外局番の最初の0をとってふつうに電話する。携帯も同じ、001−81−90−****という感じで。
インターネットは空港や街で使えるところが増えている。日本語の環境がない場合はローマ字で。あらかじめ hotmail などフリーのウエッブメールを登録しておくと便利。
病気
下痢はどうしてもしてしまう。薬をのみ大事をとってなるべく移動しない。熱い水をたくさん飲む。
薬は一通り持っていく。病院がないところでは自分で直す覚悟で。まずは自分の身体を知ることが肝要である。日本とは医療の環境がちがう。決して無理をしない。
病院にかかるなら、大きなホテルや空港でよい病院を紹介してくれる。保険会社に情報を求めるのもよい。場所によっては注射器の使用や院内感染に注意
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■ものを買う
ものを買ったり交換したいるする行為は、そもそも人類学上の大きなテーマである。そして、もっとも露骨でもっとも日常的なコミュニケーションの一つである。ゆめゆめないがしろにしてはいけない。
物価を知るべし。はじめの一週間は高いものをかわない。日本円に換算して考えてはいけない。あくまでも現地での価値観を身につける。
物価の知り方:
・現地の人の月収を教えてもらう。
・スーパーマーケットで値段を調べる。
・現地の人が買っているのをよく観察する。
・相手に値段を聞かずに少なめの見当で金を出す。
値段の交渉は高度に文化的な交流である。これこそ人間関係のエッセンスなのだ。ときには疲れたりだまされたりするけど、落ち込んだり開き直らずに次の機会に上を目指そう。現地の人だって毎日交渉をしているのだから。
交渉の要点は、会話を続けながらあくまでも粘ることである。いそいではいけない。むしろ会話を楽しもう。外国の時間の流れ方は日本と違う。
中国では没有にまけるな。時には交渉に失敗しボラれることもある。ボラれてもめげない。ボラれても開き直らない。「どうせ日本円だと○○円だから平気だ」とは考えない。「おれは金持ちなんだからケチらないのだ」なんて成金みたいなことを考えない。そういう考えが知らず知らずのうちに相手を見下し、自分をみにくい人間にする。
両替は空港やホテルでは最小限にする。はじめは2千円くらいで様子を見ながら。ヤミ両替屋や宝石店の利用は気をつけて。現金とTCをわけて持つ。TCは必ず番号を控えておく。
両替レートの計算に注意。手数料を取っていないか?案外複雑なのだ。一度にあまりたくさんのお金は換えない。ただし、両替がうまくできない国では、小分けにして持ち歩く。今、トータルでいくら自分がお金を持っているかは、いつもきちんと頭の中に入れておく。
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■移動する
どんなに旅慣れた人でも新しい土地になれるのに1週間はかかる。ありのように街を歩き。キリギリスのように田舎にはまろう。時間に余裕を持とう。急ぐとろくなことがない。一日にできる仕事は日本の半分。ちいさな町にどっぷりとつかろう。
一週間足止めということもざらにある、それも旅。最初と最後の一泊くらいは予約してもいいけど、基本的にどこの国でも宿の予約はいらない。
交通事故に注意。病気よりも恐い。道の渡り方、現地の人を盾にして、運転手を見つめながら横断する。時には道の真ん中で止まることもある。ロータリーには注意。車の前をちょこちょこ走って横断するジャパニーズウオークはとても危険。
ローカルバスに乗れたら一人前。どこに行くかわからないけど、タクシーより安全。とにかくトライ。パッケージ化された旅行は、パッケージ化された人生を生きる人には向いているだろう。しかしいきあたりばったりの人生を生きる人はいきあたりばったりの旅を楽しもう。そしてアドリブに強くなろう
ただし帰るときには航空券のリコンファームだけは忘れずに。72時間前まで。帰る直前にできないようならば、あらかじめできるところでしてしまうか日本から頼む。
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■書きつづる
日記をつける。記録はどんな細かいことでもつける。あとでなにが役にわかからない。できるだけ詳しく。
たとえばものの値段とか。人の名前住所。考えたこと。思ったこと。気づいたこと。なんでも。ものを考えながら移動すること、それこそがいきあたりばったり系旅の真骨頂である。
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■出会う
田舎を目指すべし。都市はろくなことがない。特に観光地は最悪。観光地では観光客をだまして生活している人がいる。だから逆に言えば旅人をだます人は観光地にしかいない。よくしられた名所を確認するのがはたして旅だろうか。
田舎に行って人にあおう。
たいていの国の人はみな親切である。よい人だとわかったら、相手のことを知ろうと思う。好きになろうと思う。自然にそう思う。だから知らない人に出会おう。
自分のことばかり考えていたらいつまでたっても恋はできない。現地の人の真似をする。「学ぶ」ことは、すなわち「まねぶ」ことである。
知らないことによる非常識は多い。はじめは慎重に行動する。たとえば左手の不浄やお金を丸めて投げるなど、解っていてもなかなか同じように振る舞えない。そして日本の常識にこだわらない。日本と比較するとたいていの旅は不幸になる。食べ物だって人間だって、未知の世界を楽しもう。
自分が子供になったつもりでいつも謙虚にふるまう。ちっぽけな自分の常識と比較しない。どうせまわりは知らない人ばかりなのだから、日本と違う新しい自分を演じるつもりで。
なぜ自分は日本に帰るのか?自分って結局なんなんだ?そんなことを考えるようになったら、たぶんそれはよい旅である。自分が好きな場所を見つけてそこで暮らしてみよう。いきあたりばったり系旅とは生活・・・いや人生そのものである。
3日。ドキドキするばかりで、言葉も習慣もわからず、不安な、しかし最も印象深い日々。
3ヶ月。いろいろなことが判りはじめる。たくさんの友人もでき、毎日のように楽しいことにであう日々。
3年。言葉もほとんど問題なく使え、フィールドの複雑な人間関係も判ってくる。そこに住み続けるかどうかの選択を迫られる。共同体の中での自分の立場も明確にしなくてはいけなくなる。さて、次の旅をさがそうか・・・。
フィールドでの出会いは一生続く。帰ったらお礼をわすれずに。
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