にわか成金

[KOK 0028]

31 Dec 1996


12月31日の今日もおしごとをしている私である。いやあ。仕事はいいなあ、すがすがしい気分である。

今月は、なんだか知らないけど、お金がたくさんはいった。ある日、銀行の通帳をみると、いままで10年かかってためたのとほぼ同額のお金が振り込まれていた。一気に預金が倍になったのだ。信じられない思いである。これが世にいうボーナスか。うーん。今まで人々がどうしてあんなに一生懸命に会社にいくのかよくわからなかったが、少し理解できたような気がする。

収入は確実に今までの3倍になったが(今まで10万円きってたからね)、仕事量は1.5倍くらいだろうか。あいかわらず世の中のしくみはよくわからん。だがまあ、もらえるものはもらっておこう。

しかしながら、こう金がはいると、ただでさえ不安定な心が、さらに動揺した。そこで、今年のボーナスはなかったことにして、全部、使ってしまおうと思った。金さえあれば、どんな強固な鬱ですら躁転できるのだ。がははのは。

金はあるけど暇がない。とりあえず、物を買うことにした。手始めにビデオデッキを買った。家にはこたつしか暖房器具がなかったので、灯油ファンヒーターを買った。電子カーペットも買った。2階にも暖房がほしくなったので、追加でセラミックファンヒーターも買った。貧乏生活の長い私にすれば、ずいぶん思い切った買い物だったが、それでも金はあまった。

いままでほしくて買えなかった本をてあたりしだい買った。風の谷のナウシカ豪華版(1万1600円)も買った。図鑑も買った辞典も買った。コンピュータソフトも買った。

100g6000円の、うまいお茶も買った。茶器も買った。九州の吟醸酒も買いあさった。刺身も買った。そのへんの人にむやみに飯をおごったりした。金のないやつはオレんとこにこい、オレはあるからなんとかなるぞ〜。ガハハ(かなりいやな男である)。それでも金はあまった。

車も買うことにした(まだ商談途中である)、ターゲットは二〇万円の中古の軽自動車だ(このへんが、まだ貧乏癖のぬけない私である)。そして、いよいよ残りもわずかになった。

ビデオカメラ

最後のとどめだ。ソニーのデジタルハンディーカムDCR−PC7を買った。軽自動車とほぼ同じ値段であるが、こいつには日本の技術の最先端が凝縮されている。家庭用ビデオカメラの最高峰である。パスポートサイズの本体とコンパクトなバッテリー、最大20倍ズームのすばやさ、暗いところでの撮影能力、どれをとっても文句なしだが、デジタルだけあって画像がさすがに美しい。

スロー再生も静止画像もまったく乱れがない。しかも専用ボードをつかえば、コンピュータにデジタル信号のまま出力できるのだ(ボードは、お金がなくて買えなかったトホホ、貧乏逆戻り)。デジタルカメラなんて目じゃないぞ。

みんなも、お金があまってたらDCR−PC7を買うといいぞ。これからはやっぱりデジタルだ。私は暇ができたらこれで映画を作ろうと思う。それとビデオプリンタつなげて街に出没し、いきなり撮っちゃうプリクラおじさんやろうかな。夢と欲望がどんどんふくらむぞ。

12月31日の今日もおしごとをしている私である。いやあ。仕事はいいなあ、すがすがしい気分である。(さて、はたして正月くんはこんな私の所にもくるのだろうか?>コジコジ)

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Takekawa Daisuke