07 Jan 1997
■このごろ北九州近辺では地震が多い。もともとあまり地震がなかった地方だけに、少し不安である。とくに私の住む丘の上の家は、なぜだか知らないけどよくゆれる。
■ゆれるだけではない、不気味なことに地震の直前にかならずゴーという音がする。いわゆる地鳴りである。わたしは、この地鳴りを、地震がどんどん近づいてくるときの音だと思っていた。しかし、よく考えるとどうもちがうようだ。
■だって、地震の方が音よりも早くすすむはずだから。ちなみに地震の疎密波(P波)は秒速8km,横波(S波)は秒速4kmで、いずれも秒速350mそこそこの音波にくらべれば圧倒的に早い。・・・・とここまで書いていたら、固体中を伝わる音波は秒速数キロになる、という記述がみつかった。やはり地鳴りは音なのだろうか?それともP波自体が音なのだろうか?
■まあ、いずれにせよ地鳴りは地震がどんどん近づいてくるときの音ではないようだ。
■とつぜん話はとぶ。フィールドワークで南の島にいき、最も幸せな瞬間が、浜辺で美しい夕日を見ているときである。海の彼方に真紅の太陽がゆっくりと沈んでいく。波がざわざわ光っている。椰子の葉の黒いシルエット。
■そして、不思議なことに、太陽が見えなくなった瞬間、かならず一陣の風が吹くのだ。私はこの風を日暮れ時の風とよび、「太陽を追いかけながら地球を一周しているんだなぁ、また明日もおいでよぅ」などと、いつもそぼくな感慨にふけっていた。昼と夜のあいだを走っていく日暮れ時の風、ねぇロマンティックでしょ?
■だけどこのロマンにも大きな欠陥があった。もし本当にこの風が太陽を追いかけて地球の周りを回っているのだとしたら、24時間で地球一周、つまり4万キロを旅することになる。計算すると秒速463mである。
■これはもう、超大型で非常に強い勢力の台風の時でも体験できない、とんでもない暴風である。
■じゃあ、いつも日が沈むときにかならずふくあの風は、どこから生まれてどこにいくのだろう?きっと太平洋中のさまざまな島々で、日の沈む瞬間にその風は訪れるはずだ。ロマンは謎のままの方がいいという人もいるかもしれないが、わしゃ納得したいんじゃ。
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