19 Nov 1997
■「あってない問題」はどうも根が深そうなので、さらに追求してみます。とくにネイティブの方、用例をお願いします。「ですね」問題についても引き続き取り上げます。
■今回はとりあえず、ネイティブ以外の九州移住民の意見をふたつ。
■イギリス国籍の言語学者ウルチイさんからは、以下のような指摘を頂きまし た。
【ウルチイ】■「ですかね」を疑問に使うのは九州以外でもあるような気がするのですが…。「ですかね」じゃなくて「かね」や「だね」だったら東京でも普通ですよね(ex.ここはどこかね?)。名古屋・関西と移り住んだ私は、言語感覚がおかしくなっているかもしれません。●
それから、「です」の濫用については、「あのですね(え)、」とか「ですからですね(え)、」など(文頭・文中に用いられる場合)は特に北部九州にかぎったことではないと思うのですが、特筆すべきは「なるほどですね。」「…するからですね。」(文末)だと思います。また、おもしろいと思うのは「これはいくらですかね。」「 先生はいついらっしゃいますかね。」など、相手に対する疑問文なのに「ね」がついている文。私もかなり染まってしまって、東京で、また東京人と話したりしていて、言ってから「あ、言っちゃった」と思っています。
■言葉に敏感な記者のリュウちゃんは
【リュウちゃん】■興味深いですね。ですです、ですか。▼
「あっている」ということばは、現在完了形的な意味合いもあるようにぼくは思っています。新聞記者の仕事として、警察に定期的に電話をして、「事件事故はなにか起きていませんか」と聞く、いわゆる「警戒電話」という仕事があるのですが、何も起きていないときの警察官の返事は、福岡県内の警察だとこうです。▼「何も、あっておりません」
▼これは「今、何も起きていない」というだけでなく「ここ数時間、何も起きないまま推移している」ということをも意味しています。「何もありません」という言い方では、どうもしっくりこないようです。
▼宮崎の方言的共通語には「ですです」というのがあります。 これは、「そのとおりです」「おっしゃるとおり」「そうそう」というぐらいの意味です。これはもともとは、「じゃがじゃが」という方言があって、それを標準語に逐語訳した結果「ですです」という相づちになったものと思われます。
▼「じゃがじゃが」というのは、「そうじゃが」、つまり「そのとおりですよ」というのをふたつくっつけることで、相手の言葉に同意するという意味をより強めたことばです。決してイモのことではありません。
■いずれにせよ「あっている」という言葉の中には時間の経過が意識されているようですね。「ある」「する」「やる」の使い分け。「ある」と「いる(おる)」の関係など、次号でさらに分析します。
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