フィールドとコンピューター
24 Jul 1999
■フィールドにコンピューターを持っていくことをずっとタブーにしていた。まあソロモンあたりだと、そもそも電気がないから、コンピューターを持っていってもしかたないのだが、たとえ電気を確保できたとしてもコンピューターだけは持ち物の中に加えたくなかった。日常とフィールド、このふたつの生活に積極的な境界線をあたえることは、ぼくにとってはかなり大事な問題で、それを決定づけるアイテムのひとつがコンピューターであった。
■フィールドでは頭のあり方も心のあり方も変わってしまう。毎日、海にかよいなら体を動かし、ひねもす人と世間話をしてくらす。こういう生活こそが、まちがいなくフィールドにいるということの、何物にも代えがたいひとつの重要な意味だ。身体が言語に優越している世界においてコンピューターは単なる邪魔者でしかなかない。
■ところが、こんな大切なタブーをおかして、今回はコンピューターを持ってきた。それもこれも、ソニーのバイオPCG-C1Sのせいだ。出発前日に手に入れたこの超小型マシンの誘惑にどうしても抗うことができなかったのである。
■すこしだけ言い訳をさせてもらうと、単なるフィールドノートの代わりの入力用機器としてつかうつもりだった。これで通信をして、一時的にたちきってきたはずの日常世間とのつながりを、こんな素敵な南の島にきてまで再開する気はさらさらなかった。幸いなことに、ぼくがいる佐良浜にはデーター通信ができる灰色の公衆電話はない。
■しかし結果的に「さらはまレポート」はまさに送られんとしている。その理由については、次回報告する。
New▲ ▼Old |