謎の水生生物

[KOK 0204]

30 May 2002


休みのたびに野や山に遊びに出かけ2年ぶりの日本の春を満喫している。日本の沢は美しい。先週の土曜は近くの森で杉の枯れ葉を集めて燻製をつくった。

煙で肉をいぶしているあいだ、水遊びにはまだすこし冷たいせせらぎの中に足をひたして、子どもたちは虫や小魚を捕まえていた。「ねえ、これなんていう虫?」5才の玄之介が体長1センチほどの、ちいさな円形の生き物を持ってきた。

「それはね・・」と答えようとして言葉がとぎれる。「え・・・・?」なんだろこれ・・・。

まるで三葉虫のような節の模様は、カブトエビの仲間のようにもみえる。甲殻類の一種だろうか?


背側・三葉虫のような模様

彼がみつけたあたりをさらに探すと、もぞもぞと動いている同じ生き物を3匹発見した。わりと普通にいる。どうやらこいつはカワゲラやトビケラの幼虫のように渓流の岩の下に棲む固着性の生物のようだ。

瓶に詰めたまま家に持ち帰った。そして今月号のナショナルジオグラフィックの技法を応用し6400DPIのスキャナーを最大解像度にして撮影してみた。

それを縮小したものがこの画像である。左の1目盛りは1ミリメートル。


腹側・乾いた状態で撮影しているので足の様子がよくわかる

背中から見ると甲殻類のようだが、腹から見ると足が三対で昆虫の特徴を持っている。お腹についている白いモヤモヤしたものはエラのようである。


腹側・濡れた状態で撮影しているのでエラがひらいて見える

頭の感じはカワゲラの幼虫に似ている。昆虫だとしたらこれは成虫なのだろうか、それとも終齢幼虫?目はどこにあるのだろう。背中側それとも腹側?触覚の名残のようなものも見える


頭部・目がどこにあるのか確認できない

節足動物関係のよい図鑑が手元にないために、結局まだこの生き物がなんなのか解らないでいる。「まあ、そんなことないよな」と思いながらも、「もしかして新種の生物・・・?」と心ときめかしているこのごろである。

クリックすると拡大写真も見られる。どなたか水生生物あるいは節足動物に詳しい方、ぜひこの生き物の出自と名前を教えて下さいまし。

ヒラタドロムシ Mataeopsephus japonicusの幼虫でありました。

環境指標の水生生物としてわりと有名だそうです。村山さん、ゆきさん、荒木さん。さっそく情報を送っていただきありがとうございました。

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Takekawa Daisuke