【狂41】日常にひそむあやしい事件

94/11/9

■11月7日の朝11時ころのできごとであったという。パトカー一台とオートバイに乗った警官が突然、ぼくの住んでいる棟の前にやって来て、ひとりの男を連行していった。そんなうわさを聞いた。

■さらに団地の人々は、ぼくの住んでいる部屋のちょうど真上にあたる5階の空き家が、この事件の舞台なのではないかと、疑っているらしい。

■警察が来たのと、男が連れ出されたのを見ていた人は、何人もいるようだが、この男がどこの誰なのか、また、なぜ捕まったのかなど、肝心の情報は全くない。

■人々が疑っている問題の部屋は、ぼくがここに越してきた時からずっと空き家だったのだが、ときどき、とくに夜中に、床をなにかで引っ掻くような変な音が聞こえることがあった。その物音と今回の事件との関連はわからない。

■なにしろ、警察がぼくのところに聞き込みに来たわけでもないし、その後も平凡な日常にも、これといった変化はない。

■このあやしい事件はこのままうわさとして風化してしまうのか、それともこのさきなんらかの進展があるのか。


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