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【狂136】Welcome to Mush World !

96/02/24

ニライタケの食べ方

Ver.2.1
日本精神展開性菌類研究所

おいしい食べ方

収穫してそのままイキのいいのを食べるのが一番ダイレクトな方法である。しかし、はっきり言ってニライタケはまずい。妙にキノコ臭い。柄は苦く、カサには中途半端な塩味がある。それでもあの苦い苦いウバタマサボテンよりはましかもしれないが。なにか料理に入れるという方法はあるかもしれない。東南アジアあたりでは観光用キノコオムレツが食べられるというが、皆でいろいろ工夫してみよう。

保存のことも考えると乾燥粉末にして服用するのがより現実的である。乾燥した破片をお茶のようにして飲むという方法が一般的である。中途半端にダシが出て、ちょっと塩味で、なんだか昆布茶みたいな味がする。これを旨いという人もいるが、不味いと思う人の方が多いようだ。

応用編としては、他の野菜といっしょにコンソメスープにしてもいいし、お茶に溶かして飲んでもいい。ただしカフェインを含む飲料と同時に服用すると効果が増幅されるという説もある。まあ少量のカフェインぐらいならどうということもなかろうが、酒等のハードな向精神薬と併用した場合の効果は保証できない。避けておいた方が無難である。お茶にするときには乳鉢などで砂状になるまで細かくすりつぶすと出がよくなる。粉クスリと心得て水といっしょに一気に飲むという手もある。 どれぐらいの量でどのような体験が起こるか

・・・ということを知っておくのが第一のポイントである。それはお酒でも同じことだ。お酒も量を間違えれば確実に死ぬような危険なおクスリである。にもかかわらず多くのひとたちがうまいことそれを利用してちゃんと平和に生きているのは、どれぐらいの量でどのような事が起こるかをちゃんと知っているからである。

その点はサイケデリックスでも同様である。体験の個人差が大きく、以下に書き記すこともひとつの目安であって、ある程度は自分の「体質」のようなものを自分自身の体験から覚えていかなければならないという点もお酒に似ているかもしれない。ただお酒のようなおクスリとサイケデリックスの大きな違いは、前者がもっぱらダイレクトに身体的危険性を持っているのに対し、後者はむしろより精神的な危険性を持っていると言うことである。・・・

と抽象的にいうとよくわからないかも。具体的に、エタノールはコップ数杯で(むしろ低次の)神経を麻痺させ、ヒトを死にいたらしめる。シロシビンを摂取しすぎて、そのことで心臓が止まったり呼吸が止まったりして死ぬような事はない。サイケデリックスが麻痺させてしまうのはより「高次の」神経系なのだ。よく言われるように、自分が(本当は飛べないくせに)空を飛べるような気がしてビルの窓から飛び降りてしまうとか、(本当は泳げないくせに)半魚人にでもなったかのように思って海に飛び込んで溺死するとか、そういうことが危険であり、それをもって精神的危険性というわけである。

もちろんお酒にもそういう精神的危険性はある。たとえば酔っ払いが自動車に向かってケンカを売ったりする。あれは危険だ。そういうことがサイケデリックスではもっと派手に起こると考えておけばよい。とはいうものの、お酒が往々にして人間を粗雑にしてしまうのに比べれば、精神展開薬はもっと神妙な境地へと我々を誘ってくれる。そこが醍醐味なのだが。

もう一点、お酒と精神展開性薬草と違う点があるとすれば、酒による酔っ払いは我々の文化で容認されているが、マッシュ・ヘッドな奴に対してはそれを容認する文化的な了解が成立していないということだ。その点についてはまた後ほど議論したい。

さて本題に入ろう。乾燥ニライはだいたい0.5〜1%のシロシビンを含んでいるとされるが、とにかく個体差が大きい。だいたい乾燥キノコ1gにシロシビンが5〜10mg含まれていると覚えておけばよい。粉末で小サジすりきり一杯が約1gである。0.1g程度まではかれるハカリがあると便利であるが、もともと濃度がよくわからないので、あんまり厳密に計っても意味がない。しかも、シロシビンは酸素と水の共存下でどんどん分解してしまうので、たとえ乾燥したものでも、時間が経つごとに含有量は減っていく。どっちにしてもセッティングを組むときは、濃度が最高であった場合を想定しておくにこしたことはない。

シロシビンは大人で2mgぐらいで効きはじめる。なんとなく周囲の景色が美しく見えたり、またよそよそしく違和感を感じることもある。酒に酔ったようなほろ酔い気分になることもある。そのような状態は3〜4時間で終わる。一般にシロシビンの効く時間はLSDよりもずっと短い。気持ちよく踊ったりするのにはこの程度の量が適量かもしれない。

しかしこれは序の口である。ニライの世界を充分に体験するには4〜8mgが適量だとされている。この量だと、はじめの2時間くらいは体がしびれて動かすのが難しく、また眼を明けているのもしんどくなる。色とりどりの光や音の中をトリップする。この間はトイレに行くのも一苦労だから、体から出すものは、入れる前に出しておこう。つづく2時間ぐらいは奇妙な違和感や深遠な多幸感の世界をさまよう。やはり主効果は4〜5時間程度で終わるが、多幸感や違和感はさらに数時間、ときには数日、長ければ一生?残存することもある。効き目の後の方になるほど、個人差や、セッティングの影響によって体験内容が異なってくる。

ちなみにシロシビンの効力は約20mgで最大となり、それより量を増やしても効果は変わらない。大量に摂取したことが直接の原因になって死んだり後遺症を残すことはない。(ただしもともと精神病的傾向がある人はそれがきっかけで悪化することがあるのでそれは厳重に注意すべきである。)最大量では効果はさらに強烈になり、はじめのうちは明滅する光の洪水に巻き込まれて、初心者には振り回されるのに耐えるのがやっとという状況である。これはやはり2時間ぐらいでおさまるが、その後しばらく時間や空間の感覚が変容し、時空を超越したような感覚や、自他の区別が消えて他者や世界と合一してしまうこともある。

このような体験を気持ちいいと感じる人もあるし、気持ち悪いと感じる人もいる。ただただ無の世界の空虚さを感じるだけの人もいる。一般には気持ちいいと感じる人が多いようである。

一般に感覚は鋭敏になり、いろいろな物事が新鮮で美しく見えがちである。また感情の起伏も増幅され、ささいなことで泣いたり笑ったりする。また思考はどんどん飛躍し、脳味噌がハイパーテキスト状態になる。また被暗示性が高まり、相手の言ったことが非常に重大な真理であるかのように感じられることもあるが、これは一種の魔境であって、騙されないように気をつけよう。 どんなことに気をつけるべきか

まず重要なことはセット(本人の心構え)とセッティング(周囲の環境)である。前もって、どんな体験が起こりうるかということについてある程度の知識を持っておく必要がある。そして、もっとも無難なのは静かで落ちついた部屋で、信頼できるお友達とゆったりいただくことである。そのうちの一人は、シラフ(または少量服用)で、ガイド役になると良い。とくに屋外など必ずしも安全とはいいがたいセッティングで行う場合は服用量をおさえるか、さもなければこのようなガイド役をぜひつけたい。なお、インドアでもアウトドアでも、一人でやるのは初心者にはちょっと危険である。

充分な量で深い世界を旅する場合は、邪魔が入らないようなセッティングを最低半日は確保する必要がある。そして、できれば翌日には重要な仕事を入れない方がよい。正常に戻ったと思っても意外なところでヘマをやらかす危険性があるので、約24時間は自動車の運転や会計処理など、複雑な、あるいは危険を伴う作業に従事するのは避けよう。

さて、いわゆるサイケデリック体験でもっとも問題になるのが「バッド・トリップ」というやつである。あのような意識状態では、ちょっとした不安や恐怖が著しく増幅されやすく、本人にとっては地獄のような苦しみになってしまうことがある。しかも困ったことに、意識変容状態では時間の感覚がヘンになり、その苦しみが永遠に続くように思えたりすることも少なくない。地獄というものを味わってみるのも修行のうちという過激な意見もあるが、やはりできればそういう体験は避けたいものである。

バッドトリップ予防策は、まず第一に安全なセッティングである。たとえば、だれかの下宿でワイワイとトリップしているところに、大家さんが怒鳴り込んできたりとか、そういうシチュエーションは絶対に避けなければならない。

それでも不幸にしてバッドな状態にハマってし待ったらどうするか。基本的な心構えは、どんな状況になってもその状況にいたずらにこだわったり、抵抗したりせず、淡々とやりすごすということである。たとえその最中はものすごく長時間に感じたとしても、現実にはそのような状態は短ければ数分、長くても高々1時間もすれば必ず終わるという意識をしっかり持って、ゆっくり腹式呼吸をしながらただその状況が過ぎ去るのを待つのである。自分の好きな音楽に意識を集中させるとか、「おんさんまやさとばんおんさんまやさとばん」「だるまさんがころんだだるまさんがころんだ」等々のマントラを唱え続けるのもいい。

周囲の人間は基本的には、そういう状況はじきに終わるからと言いきかせて、あとはだまって様子を見るしかない。救急車を呼ぼうとか、下手に大騒ぎすると本人が余計にパニックに陥りかねない。ただそれでもどうしようもないときは、薬で押さえるという方法もある。

もっとも強力な方法は抗精神病薬(メジャー系の精神安定剤)の注射であるが、強力に効きすぎて抑うつ状態になることもあるという。もうすこしおだやかな方法としてはベンゾジアゼピン系のおクスリ(マイナー系の精神安定剤)を使用する方法がある。筋注の方が効きは効果的だが、経口摂取の方が医者ではない人間がその場で行う措置としては現実的である。たとえば眠り薬としても処方されているジアゼパムを手元に用意しておき、どうしてもバッドな世界から抜け出せない時はそれを10〜20mgぐらい服用するといい。もっとも経口では急性のパニックには間に合わないかもしれないが「この薬は効く」と信じて飲むという行為自体にプラシーボ(偽薬)的精神安定作用がある。

なお、余計なお世話であるが、残念なことに、今日の日本では、精神展開というものを取り扱う文化的合意がないので、不用意に公衆の面前で精神を展開させない方が良いものと思われる。あまり派手なことをやると、「麻薬でラリっているへんな人(たち)がいる」とお巡りさんに通報されてしまうのが関の山だ。

もっとも、この「文化」を逆手にとるというウラ技もある。というのも、現代の日本社会はエタノール使用による「酔っ払い」を適当にやりすごす文化的合意が出来上がっているから、公衆の面前で精神を展開させる場合、自分があたかもお酒を飲んだ「酔っ払い」であるかのように見せかけるのである。そうすれば周囲の人たちもあなたの言動を奇怪に思わず見過ごしてくれるものだ。(無論、そうしたからといって精神を展開させる事によって生じる実質的な危険性が減少するわけではないが。) (まだこれらの情報は必ずしも正確とはいいがたく、不充分な点も少なくないので、今後より充実したものに改訂していく予定です。) 飲んだら乗るな。乗るなら飲むな。飲菌運転は絶対にやめましょう。交通安全はひとりひとりの心がけから


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