27 Mar 1997
■先週はずっと学会で福井にいっていた。日本オセアニア学会と生態人類学会、相変わらずとんでもない学会だったが、三夜連続はさすがにきつかった。
■福井は芦原温泉、学会のあいまに、当地の名所「東尋坊」を見にいった。先日のオイル流失事件で全国的に有名になったナホトカ号の横をすりぬけ(ナホトカ号はたまたま海浜公園の真ん中に漂着したために、このまま撤去せず公園のオブジェとして放置しておくらしいです)、さらに海岸線を走るといきなり東尋坊であった。
■私は東尋坊が、いったいどういういわれのものなのかは良く知らないが、どう贔屓目にみても、どこにでもあるただの崖であった。しかもコンクリート製の遊歩道が、はりめぐらされ、本来の姿がでたらめに破壊された崖であった。
■しかもおどろくべきことに、このどうしようもないただの崖に、駐車場やら、展望台やらがならびたち、それこそ福井県中の土産物屋が寄生し、土産物屋には東尋坊ととはおよそ関係のなさそうな椰子の実やら岩石やらが並べられていた。ここまでくると、すでに東尋坊の「本体」は、もうどうでもいいのである。私はこのすさまじい風景に日本の名所観光の本質を見たような気がした。
■さて、かねがね「日本三大肩すかし」とはなにかという話題で、「高知のはりまや橋」「札幌の時計台」をあげていた観光研究家の私ではあるが、「福井の東尋坊」は間違いなくそのひとつに加えてよいのではないかと思う。
■どうであろうか、みなさまのご意見をお聞きしたい。
とうじんぼう【東尋坊】
(1):名前が知られているわりに、実際は大したものではないこと
(2):有名なものやブランドに弱くついついそれにひかれてしまうミーハーな人。
(例)こないだはプリクラにならんで今度はたまごっちだって、まったく東尋坊なやつだねぇ。「こくら辞典(第四版)」より
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