ムーミンママのお料理の本

[KOK 0085]

20 May 1998


「ムーミンママのお料理の本」。さいきんお気に入りの本です。サミ・マリラさんという、ムーミン谷の住人が作者です。ムーミンの物語に出てくる150種ちかくの料理のレシピがのっています。お菓子がおおいので、甘ものに弱いわたしにはちょっと困りものですが、読んでいるだけでも北欧の雰囲気を存分に味わえます。

ただし、ここにひとつおおきな問題があります。たとえレシピどおりにつくっても、「本当にそれでよいのだろうか、ムーミン谷の住人たちは本当にこんなものを食べているのだろうか」という疑念をどうしても消すことができないのです。いくつかの料理には写真もついているのですが、そもそもこれまで食べたこともないものをレシピだけでつくるのですから、どだい無理があります。

たとえば、日本の茶碗蒸しをレシピだけで紹介して、いったい何人の外国人が正しく作れるでしょう?「日本風、野菜入りプディング」きっと茶碗蒸しは、まずこう紹介されます。そして「ツナを薫製にし、ごく薄くスライスしたものを適量お湯に入れ、沸騰直前に火を止め煮汁をとりだします・・・」こんな具合にレシピはつづくと思います。

「スナフキン荒野の五目スープ」といわれたところで、この五目スープがはたして我々の、たとえば五目ヤキメシからイメージされる料理と、どこまで類似性があるだろうか。ましてや料理名を「魚セリヤンカ」「秋の夜の魔法の飲み物・りんごグロキ」などと書かれた日には、できあがりのイメージがまったくわきません。

「ムーミンパパの夏のシマ」のレシピはこうです。

MUUMIPAPAN KESASIMA
ムーミンパパの夏のシマ

ルバーブ,砂糖・・・・各500グラム
水・・・・・・・・・・5リットル
生イースト・・・・・・小さじ1/4
干しぶどう・・・・・・少々

(1)ルバーブを洗って小口切りにし,大きな器にいれて,砂糖を加えます。
(2)水を沸騰させ,(1)に注ぎ,人肌にさまします。
(3)(2)の液をコップに6〜7分目くらい入れ,生イーストをといて(2)に混ぜます。(シマが泡立ちすぎないように,生イーストは,決して表示以上入れないこと)
(4)24時間,室温で発酵させます。
(5)(4)をこして,熱湯消毒しておいた瓶に入れ,干しぶどうを,一瓶につき5〜6粒加え,ふたをしっかりしめます。
(6)瓶を冷暗所に置いておきます。
(7)3日ほどたって,干しぶどうが浮かんできたら,ムーミンパパのシマはできあがっています。冷やして飲んでください。

どうもお酒のようなものらしいのですが、さてルバーブってなんだろ?日本でつくるとしたらルバーブの代わりに何を使ったらいいのだろう?あやしい音の響きです。しかも、その次に紹介されている「ムーミン谷のシマ」にはルバーブが使われていなかったりするから、どうもルバーブというのはシマに必須のものではないようです。

このように、謎めいた料理もありますが、しごく簡単な料理もたくさんあります。ムーミン好きでお菓子好きでオーブンでなにかつくってみたい人にはお勧めの一冊です。

「ムーミンママのお料理の本」
作 サミ・マリラ
絵 トーベ・ヤンソン
訳 渡部 翠
講談社 1748円 ISBN4-06-207853-8

【[kok0084]ムーミンママのお料理の本】についてミホちゃんからのメイルです

英語では「rhubarb」と綴ります。 林望著「イギリスはおいしい」にも、詳しい記述がありました。辞書にはダイオウ(大黄:漢方薬になるやつ)とありますが、厳密には違う種類なんだそうです。

最近、近所の生協の店頭で結構安く売っていたので、買ってジャムにしたのがまだ冷蔵庫に入っています。砂糖が足りなかったのか、ちょっと酸っぱい仕上がり。安いし、たくさん出ているし、今がシーズンなんじゃないかと思います。日本でもぼちぼち普及しはじめているような気がします。北九州でも入手できるのでは?デパートの地下とか、可能性高そう。

味は、甘く煮てしまえばイチゴみたいな感じになります。スモモのようとも言えるかも。要するに、甘酸っぱいわけです。色はほんのり赤くてきれいです。調理前の見た目は「野菜」だけど(林望氏は「外見上は蕗」と述べていますが、まあそんな感じ。ただしサイズは巨大)、調理後は果物そのもの。不思議なやつです。

なるほど・・・。要チェックだ!

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Takekawa Daisuke