カヴァ

[KOK 0199]

08 Mar 2002


かつて私はフィジーのカヴァを日本の学生たちに披露した事があった([kok014]「このあいだのカヴァパーティのこと 」)。しかし、今にして思えばそれは全く不十分なものであった。正直に告白すれば当時のわたしは、カヴァ文化を十全に理解していたわけではなかった。

今回バヌアツの滞在中に私はさまざまな機会にカヴァを飲んだ。そしてこのダウン系のドラッグが演出する深遠な世界をようやくにして垣間見ることができたと思う。フィジーで飲んだ乾燥した粉のカヴァと違い、バヌアツの新鮮な生カヴァの汁は、その効果といい味といい比較にならないほど強烈なものであった。

首都ビラの街のナカマル(カヴァ飲み店)、バヌアツの中でもっとも強いことで有名なタナ島のカヴァ、そして極めつけは屈強の男たちが噛みながら唾液と混ぜてつくるフツナ島の噛みカヴァ(超強烈)。暗闇の中で体の力がすべて失われて、けだるさの中をふわふわ漂う快楽はほかのドラッグではなかなか味わえないものだ。

そして、カヴァは実に平和な飲み物である。カヴァを飲むと諍いが収まるという。たしかにあらゆる気力が失われ下手をするとそれは翌日まで影響する。それだけに興奮剤好きの勤勉な日本人にはなかなか受け入れられにくいドラッグかもしれない。バヌアツの人々はソロモンやアメリカやアフガニスタンにカヴァを送りたいと語る。バヌアツとソロモンの違いは、カヴァとベテルナッツの違いでもある。たかが嗜好品といいながらこの違いは決定的だ。攻撃的なソロモンと、のんびり屋のバヌアツ、文化的にはほとんど違いのない両国民の性格の違いは嗜好品によって生み出されているとしか思えない。

ちなみにもっとも飲みやすくて気持ちよく効いたのはペンテコスト島北部由来の、すりおろしカヴァであった。海外青年協力隊員の方に教えてもらったのだが、味といい質といい非常に洗練されたものであった。ポートビラではビニヒというナカマルで飲むことができる。一杯200VTの高価なカヴァだ。

さて、話だけではつまらないだろう。ぜひカヴァを飲んでみたいという人もいるはずだ。そんな好奇心旺盛な方のために一キログラムのカヴァを日本に持ち込んだ(もちろん合法である)。限定20名。残念ながらこれは乾燥された粉カヴァであるが、ダウナー世界の雰囲気をそれなりに味わうことはできると思う。飲みたい人はぜひ連絡を。日にちと場所をセッティングしましょう。なお当日は昼食を抜いて空腹状態で飲みます。

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Takekawa Daisuke