【狂86】人類占拠さる

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■6月4日(日)、旧人類館が十数名の学生によって占拠され、今日にいたるもなお彼らの支配下にあり、解放される気配は全くない。

■旧動物学教室の隣にあった人類館は、昨年末の動物植物大引越しのあとも、予算の都合上取り壊されぬまま放置された。はじめは一時的に実験動物用のゲージがおかれていたが、新館の飼育施設が整ったのでその後は空き家となっていた。

■先週の日曜、ゲイジツ系を名乗る学生十数名が、車で生活資材等を搬入し建物を不法占拠した。彼らは旧人類館を「きんぢハウス」と名付け、新しい共同空間として生活を始めた。

■翌月曜には大引越祭として、歌舞音曲にふけり、古着古道具のたぐいを販売し、300円でカレーを給仕したりと、大がかりな示威行動をおこなった。現在、旧人類館の中には喫茶店がつくられ不特定多数の人間がくつろぐことが可能になっている。

■こうした彼らの行為に対する当局側の対応は、完全なおよび腰で、京大におけるこれまでの前例から考えれば、このままなしくずし的に彼らの居住空間となることは明白である。

■占拠した学生は、旧人類館の鍵を持っているらしいことから、この事件に対して「人類研内部に手引き者がいたのでは」という噂が動物学教室内で広がっているが、人類研ではそれを否定している。

■人類研D氏のコメント「しまった、その手があったか・・・、いまさら先住者の権利を主張するのも恥ずかしいが、一部屋くらい私に使わせておくれでないかい、といった方向で今後妥協を許さず断固とした交渉にあたっていく所存である」

■なお「きんぢハウス」の名の由来は、おそれおおくも、かつてこの建物に住まいなされた今西錦司大先生からきておるということである、かえすがえすも失礼千万不逞の輩である。


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