[KOK 0260] 13 Aug 2005 はりぼての未来 |
■雑木林を切り倒し地面を固めて作った万博会場の暑さは尋常ではない。パビリオンの中ではクーラーがギンギンにかかっており、大量のペットボトル飲料が消費されている(しかもこれらは持ち込み禁止なのだ!)。じつに環境にきびしい万博である。 ■野外に置かれたスター★ドームは、けなげに日陰をつくりはするが、むき出しの夏の猛暑の中では限界がある。水や木陰のたすけがあれば、このドームの中で十分に快適に過ごせるのに。会場の森を切らないでほしかった。ほんらいドームを建てる場所は草原や森の中こそがふさわしいのだ。 ■これだけをとっても「自然の叡智」というスローガンがいかにインチキくさいものであるかがよくわかる。そんな子供だましの欺瞞によもや気づかない人はいないと思うけど、だれもなんとも言わないのは、環境万博という「建前」を割り切っていて、単にお祭りを楽しんでいるからなのだろうか? ■しかし、万博はお祭りとしても中途半端だ。これは名古屋人の気質だろうか?全体的に「せこ」くて「けち」くさいのだ。本物のリアルな海上の森のすぐ近くまで来ながら、客に見せるのはバーチャルな森のはりぼて映像ばかりだ。最新の情報機器は、客の監視と管理の為に最大限利用されている。祭りにつきものの鷹揚さとハプニング性は微塵も見られない。もし万博が未来の生活を先取りしているのだとすれば、私たちの未来は、虚構と監視に支配されたきわめて貧弱な世界にちがいない。 ■マスコミも万博に関しては、いいことしか書かない大政翼賛会状態だ。人々がお祭り騒ぎに浮かれているすきに、豊田市は万博の裏の山を宅地にするためにこっそり山を削っている。どさくさに紛れてつくったリニモや高速道路もすべて開発の布石だ。あいもかわらず土建産業だけが人々にとってのリアルな現実なのだろうか。 ■しずかでちいさな暮らしとはほど遠いそんな万博。日本国晩年の馬鹿騒ぎになるかもしれないこの万博を見届けつつ、来るべき神経質な管理社会の足音に畏れおののく私である。 |
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© TAKEKAWA Daisuke |