[KOK 0274] こくら日記のトップページにとぶ 09 Aug 2006

あっけない結末

 

前回からの続きである。海外出張のため、このままでは10月まで連絡がとれなくなると伝えると、AUの担当者は急にばたばたと対応しはじめた。さすがに半年以上も放置しておくわけにいかなかったのだろう。

そうして、ようやく郵送されてきたログの抜粋には、時間とサイト名とIPアドレスだけで詳細な対象やファイル名も明示されていない数字が、そっけなく印刷されていた。

携帯電話料金

いずれにせよ、パケットサイズからみると、単なるページの閲覧ではなく、おそらくファイルのダウンロードで起きているとおもわれる。しかし私の携帯にはそんなファイルは届いていない。なぜこんなことが起きたのだろうか。

ログを見ながらの電話のやりとりで、しぶりしぶり口を開いたAUの総括責任者の説明は、まさしく予想していたとおりの驚くべきものだった。ミスであれページの仕様であれ、一度ファイルのダウンロードが始まると端末機器側からのキャンセルは全く利かないのだという。端末がどういう対応をしようが、途中のAUのサーバーにはパケットがとどけられ、それを元に課金情報がつくられるのだという。相変わらずダウンロードが開始された原因はわからないが、どうやら問題はそこではないらしい。

たとえば途中でページをかえて未表示の画像があったとしても、あるいはダウンロードを途中でやめたとしても、課金はすべてのリクエストに対しておこなわれるのである。仮にたまたま1MBをこす画像が貼り付けられているページを開いたとしよう、画像を見ないうちに別のページに移ってももう遅い、先日の計算であれば、それだけで数百円の課金が派生してしまうのである。非常に危険である。

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「つまりサービスが完了していなくてもサービスの対価をとるということですね」私が確認すると総括責任者は「そのとおりでございます」と認める。「詳しいことはわからないが、システム上そういう仕様になっており、情報が端末まで届いたかどうかは判断できない」という。

「それはサービスの対価としてはふさわしくないのではないでしょうか」あくまでも私は丁寧に尋ねる。「郵便にせよ宅配便にせよ、消費者に荷物が届けられて初めて輸送の対価は派生するはずです。電話でもそうですね。もし何も相手に届いていないのにお金を取ったら、それは商慣習上の不備ではありませんか?」「そういう考え方もあると思います」そのまま沈黙する。再度、意見を促すと「もう一度かけ直します」といっていったん電話が切れた。

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そして、数分後、電話がかかってきた。心なしか声が明るい。良い返事でももらえるのだろうか。

「お客様、お手元にパンフレットをお持ちですか」という。ない。パンフレットのどこそこのページに重要な記載があるので手元になければ送るという。そこにはごく小さな字であるが、通信が完了しない場合でもパケット料金は発生する旨が書いてあるという。

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やられた。

どうやらこの欠陥はAUにとって既知の問題だったらしい。窓口のオペーレータは知らなくても、こうした指摘があることをわかった上でパンフレットは作られていたのだ。逃げ道はあらかじめ用意されていたのである。

原因と問題点は明らかになり、事実関係は共有された。あとはネゴシエーション(合意形成)だ。当初からAU側は、パケット放題に変更した形にして通信料を精算し、4月にさかのぼって契約を取りやめるという提案をしていた。しかし私が原因の解明と問題解決を求めたために、その提案は保留されていた。だが、もうAUはパンフレットの記載を盾に、これ以上の落ち度を認めないだろう。カシオのGショック携帯 G'z One TYPE-R 色グリーンの12000円分は返ってこないが、幾ばくかでも返金がされるのであれば、ここで手を打つしかない。こうした妥協を出してくる以上、向こうにも後ろめたさはあるのだろう。

さて、今回の問題は、あくまでもシステム上の不備が原因である、しかしそれを消費者に十分に知らせないままその後もAUはパケットサービスを続けている。すでに携帯を手放した私としては、詳細を知らずに言われたお金を払い続けている多くの消費者のために、できるだけ早くこの課金システムが修復されることを祈るだけである。

最後に、窓口のオペーレータとの話し合いについての注意点を書いておこう。オペレーターといえども人間である、時として極端に感情的になったり、話の筋道を理解できなかったりする。残念ながら今回の件でAUの対応は決して善いものではなかった。しかし、相手がどうであれこちらには落ち度がないのだから、あくまでも冷静に丁寧に説明することである。最初は事情のよくわからない一般の相談窓口や、あるいはさらに役に立たない謝罪担当者が電話口にでるが、できるだけはやい時期に技術者や責任のある対応ができる管理者を出してもらうことが、問題解決を迅速にすすめるコツだと思う。さらに、会話の内容から先方は無断で通話を録音していることもわかった。それを使ってこちらの細かい発言を元に揚げ足をとろうとする。言った言わないでは話は進まないので、こちらも自衛と証拠の保全のために、かならず通話は録音しておいた方がよい。


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